2012年03月20日

YEBISU


テレビ等の日本語の使われ方に疑問を持つことがあります。そんなとき、皆さんはどう思うのかなあ?という思いもあり、ブログに書いてみようと思うことが度々ありました。でも、すぐに書かないと、話題そのものを忘れてしまいます。getting oldの証拠!

今日は、そんな日本語の話題を二つ。

1.YEBISU

ある日、生徒さんからビールの銘柄「エビス」はなぜYEBISUと綴るのですか?という質問をいただきました。

そういえば、そうです。Y付いています。

それを訊かれて、ふと思ったのはカタカナでも「ヱビス」と「ヱ」は旧字を使っていたということ。この字は、ヤ行の「エ」に使うのですよね。

つまり、YA, YI, YU, YE, YO

YE

だから、YEBISUって綴るんですね。

辞書で調べたら、七福神の恵比寿さまは歴史的には「ゑびす」と書くとのこと。その表記、そういえば、時々見かけますし、このビールのコマーシャルで恵比寿さまが出演していたものもあったなあ。すべて辻褄があいました。

ところで、私の記憶が正しければ、その昔、平安時代くらいまでさかのぼると、ヤ行のYIYEも、ア行のIEとは違えて発音していたのだとか。私たちにとっては、earyearの差を聞き分けたり、区別して発音することはむずかしいことですが、平安時代の人たちにとっては朝飯前だったのかな。


2.勝ちっぱなし

NHKのニュースで、あるお相撲さんが7日間だったか「勝ちっぱなし」という表現をしたんです。私、なんとも言えぬ違和感を抱きました。日常会話なら私も言うかもしれないけど、NHKのニュース原稿で「勝ちっぱなし」が登場するとは・・・その話を友だちにすると、

「勝ちっぱなし?ええっ?言うでしょ?間違いなの?」
「負けっぱなしならあるかもしれないけど、良いことには使わないものじゃない?」

と言いつつ、心の中で「負けっぱなしも、変かなあ?」とまで思いました。

そこで、国語辞書を引いてみました。


はなし「放し」

A 多く「・・・っぱなし」の形で、動詞の連用形に付いて、そのままにしてほうっておく意を表す。「水を出しっぱなしにする」「言いっぱなしに終わる」「放りっぱなし」「置きっぱなし」

スーパー大辞林より

ほら!(ちょっと、ドヤ顔!)本来、「ほうっておく」の意味が入っていなくては、使えない表現なんですよ、これは。
「彼らの勝ちっぱなしを許しておいていいのか!」という文脈なら、かろうじて使えるかもしれないけど・・・


私が師とあおぐ、マーク・ピーターセン氏もおっしゃっていました。外国語を学ぶ者は、母国語にも敏感であれ!心しておきたいと思います。





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posted by Monterey at 10:40| Comment(7) | 日本語あれこれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>勝ちっぱなし
「勝ち続けている〜」とか「連勝の〜」と言うより、インパクトが少し強い感じがしませんか?
手元の電子辞書で見てみると、広辞苑に「その状態が続く意を表す」という説明もあり、小学館類語例解辞典とともに「勝ちっぱなし」の例がのっていました。
そういえば、不満や非難の意味を含む場合が多いですよねえ。「帰りの電車は立ちっぱなしだった。(座りたかったのに)」とか、「テレビつけっぱなしにしないで。(電気の無駄遣いでしょ)」等々。よい事に使う例って、なかなか思いつかないですよねー。「彼女と一緒にいると笑いっぱなしだわ。」とか「彼は、孫ができて頬が緩みっぱなしだ。」なんて言えそうだけど。
Posted by 莉杏 at 2012年03月21日 11:01
莉杏さん

そうですか。広辞苑では認められているのですね。

思うに、元々は、大辞林の定義のように、放置したままの状態にしておく、という意味だけだったのが、その状態が続くという広辞苑の定義も含むようになってきたってことでしょうかね。

後者の意味は、口語的で、辞書ではまだ認められていないのかと思ったのですが、広辞苑に載っているならお墨付きですね。それでも、私はなんだか違和感があって、正式な場では使いたくないなあ・・・(それは個人的な語感ですね)
Posted by monto at 2012年03月21日 23:03
私もNHKのニュースで使われたと聞いて、「えっ、ホント?」と思いました。でもスポーツニュースは、政治経済などより少し砕けた感じを出していますよね(多分)。それでもやはり、正式な場では使いにくいですよね〜。

>外国語を学ぶ者は、母国語にも敏感であれ!
はい、まったくその通りだと思います。同じく、心しておきたいと思います。^^
Posted by 莉杏 at 2012年03月23日 21:14
莉杏さん

「勝ちっぱなし」というよりも、「っぱなし」という表現自体、正式な場では使いにくい表現ですよね。おっしゃるように、スポーツニュースだから、まだ、許容範囲だったということですね、きっと。

>外国語を学ぶ者は、母国語にも敏感であれ!

基本的に、保守的思考は嫌いなのですが、言葉に関してだけは、保守的に、新語、流行語に関しては最後尾くらいから付いて行くくらいの気持ちでいます。

Posted by monto at 2012年03月23日 22:17
すべて辻褄があって……ません。

「勝ちっぱなし」の件で検索して、こちらに来ました。ただ、前半の記述でちと気になることがありました。

ヤ行は「ヤイユエヨ」と書きます。ワ行は「ワヰウヱヲ」です。つまり、ヱビスビールの場合、カタカナはワ行なのにも関わらず、ローマ字はヤ行になってます。

なぜだかはわかりませんけれど、辻褄は、全くあってません。

以上。

すみません、妙なコメントで。
Posted by 出人 at 2012年11月19日 22:29
出人さん

ご指摘ありがとうごさいます。

そうなんだあ。今、辞書で確認すると、「ゑ」は平安中期まで使われていた[we]という音を表し、ア行・ヤ行の「え」と区別があったが、以後混同し、現代の発音は「え」[e]となっていますね。勉強になりました。

でもYEBISUのYEと、「ゑ」はなんらかの関係があると思うのですが、違うのかなあ・・・違うなら、なぜYEなんだろう??

Posted by monto at 2012年11月20日 08:54
たまたま、手元に「日本語の歴史」(山口仲美/今波新書)があったので、開いてみました。

奈良時代にはヤ行の「え(je)」もあったとのこと。その音は「い」を発音してから大慌てで「え」の音を付けたした音、だそうです。英語の"ye"に近いですよね。

この音はひらがなではないけれども、万葉仮名ではア行の「え」と書き分けていたそうな。ご指摘のとおり「ゑ」はワ行の[we]となっています。

でも、結局、なぜ「ゑびす」がWEBISUではなく、YEBISU表記になったのかはわからずじまいです。残念。
Posted by monto at 2012年11月20日 10:03
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